荒川の花

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電線がなかったら。尾瀬みたい。

東京の荒川河口口の、とある大雨の日のあとの、裏道。


荒川河口口の近くに、つい去年まで住んでいた。

この一帯には、さまざまな植物が、自生している。

さまざまな植物が、繁殖地を争って、盛衰を繰り返している。

 

息子がまだ小さいころは、野菊がちらほらあったのだが、大方、セイタカアワダチソウにでもその生きる場を奪われたのだろう、今ではみられない。

 

この時期に目立つ花として、ヒルザキツキミソウがある。

先日、その種を採りにいって、庭に蒔いておいたから、来年は咲くんじゃないかな。

また、近年、一部の場所をスイートピーが席巻している。

ハマエンドウかな、でも図鑑でみるとスイートピーらしいのだが。

マメ科の植物らしく凄まじい繁殖力で、一度一帯を刈り取られたことがあるのだが、一年で復活してしまった。

散歩がてら、花束を作るには華やかでよい花と思う。

これももう間もなく種ができるので、取りに行くつもりである。

このスイートピーの一帯の真中ほどに、アカシアの木があり、満開になる様は見事である。

 

また今年は確認していないが、このスイートピーの隣の一帯は、テリハノイバラの繫殖地である。

根を張り巡らし、地を這いめぐって、一本の木に巻き付いて咲き誇ったのは素晴らしい眺めであった。どこかの薔薇の専門店にでもきたかのような光景。

これも刈り取られてしまったので、これほどの光景はみられないにしても、あれほど強い植物がそう簡単に消えるとは思われず、おそらく今年の夏も咲くだろう。

 

グミの木を見つけ、実がなったらジャムにしようと楽しみにしていたのだが、熟れるまえに鳥たちがみんな食べてしまっていたのは本当に悔しかった。

とはいえ、このグミの木、鳥たちがその糞から芽吹かせたものに相違なく、であってみれば実を食す権利は当然、彼らのものか。

 

よもぎはどこにでもある。

天ぷらにしてよく食卓にだしたものだ。

 

他に食べられる代表的なものがハマダイコンで、これもどこにでもある。

おおきくなれば紫色の花を咲かせるが、そうなる前、冬の終わりころには大根そっくりのロゼットを作って地上にでており、この時が一番おいしい。

大根の葉と同じに料理すればいい。

 

他、大概のものは食べられるが、ハマダイコンのように美味しくはないんじゃないかと思う。

 

今年は、新しくキバナコスモスが、どこから種が飛んできたものか、ロックゲート脇に群生していた。ちょっと拝借して、今、窓辺を飾っている。

 

他にバーベナの野生種のようなものが逞しく茂り、金平糖草の黄色いようなものがかわいらしくポロポロと風に揺れている。これはヒルザキツキミソウと合わせて花束にすると豪華なものになる。

スイカズラが、ジャスミン系の香りを放って咲いている。

鳥たちが蒔いた種から、さくらの木が、とんでもないところに出ていたりもする。

 

湿気の多いところで、ニンジンの葉のようなものを見つけた。

まさかシャク?

さすがにそれはないか。

セリのような香りがする。

調べると、どうもヤブジラミというものらしい。

香りはいいのだが、名前で食べる気が失せてしまった。

 

都会の川辺である。

それでも探せばいろいろな自然があり、発見があり、驚きがある。

表通りより裏通り、なるべく川に近い藪の中が良いので、楽しめる人とそうでない人には分かれるかと思うが。

緊急事態宣言下、荒川裏道ツアーなんか、最高じゃないかと思う。

 

今日は荒川の花で可愛い窓辺ができた。

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