宮古島は青かった
初めて宮古島へ行ったのは10月であった。
この時、私は単独で、クロスバイクで島を回りながら素潜りをして遊ぶ、という計画を立てていた。
地理に疎く、方向音痴であり、不安は大きかったが、飛行機から見えた青すぎる海に、
何もかも吹き飛んでしまった。
もうやるしかないではないか!
こんな青い海で!
夕方到着で、早速に自転車を借り、翌日は朝早くからの行動である。
朝5時出発。
小雨が降っていて、西の島の夜明けは遅く真っ暗だった。
フィンが重たく背にかかる。
とにかくグーグルナビが頼り、真っ暗な道路を走り出す。
しばらくは何も見えない、暗いし、たまに車が通るくらい。
いきなりまもる君が出てきたのには仰天した。まもる君というのは警官の人形で島のあちこちにある。
1時間も走ったころかな、池間大橋にかかると、海が青かった。
夜明けである。
青い青い青い!!
そう叫びながら走っていたことを覚えている。
池間についたころにはすっかり明るくなり、雨も止んでいたが北風で海は荒れていたので、ここでの泳ぎは諦めた。
再び青い青いと呟きながら、下地島へ向かう。
伊良部大橋からの眺めのなんと素晴らしいことか。
下地島は中の島海岸が有名なのだが、そこに向かう途中で、ちょっとしたポイントを見つけ、泳いでみることにした。
入り江であり、海は穏やか、誰もいないが問題ない。
暖かい海だった。
入ってすぐ、大きなサンゴがあり、魚が群れていた。
熱帯の魚に慣れない私は、この魚はいたずら書きされてる!(;゚Д゚)と思った。
モンガラカワハギであった。これと、フタイロカエルウオが多かったように覚えている。
何か、遊びとしてはこれで完成したような、満足感に浸っていた。
誰かに連れて行ってもらい案内されるのでなく、自力で移動しポイントを見つけ
楽しむ。
自由だった。
独りだから無理しない。
しばらく泳いでいると、人がパラパラ入ってきた。
同じく単独の男性が繰り返しジャックナイフの練習をしていた。
中の島海岸へ移動。
こちらはうってかわって人が多い。
海へ入ると意外に深いところがあって、吸い込まれそう。
人は多いけれど、クマノミも多かった、クマノミのマンションがあるくらい。
時間を忘れて泳いでいると、まずい、明るいうちに帰れなくなる。
ずぶぬれで自転車に乗る私を、不思議そうにガイドさんが見ていた。
時間がないので来留間島へ直行。
橋の手前でタイムアウト。
伊良部大橋で、ロードバイカーに声を掛けられる。
背中の荷物からフィンが見えたのだろう、僕は毎年ここへきてるけどそんなことしてる女の人初めて見る!と、呆れたような顔をしていたが、自分でも酔狂だなと思っている。
しかし、ここで感じた自由は私に自信を与えてくれた。
遊ぶとき、限りなく、自由でいたい。
そのための労力など、なんのことはない。